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−できない自分と向き合う
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■「泣いている子に振り回されない。子どもは泣くことでバランスをとっている。泣いて、できない自覚が生まれ、その後は自分でちゃんと決めていける。」
小1−3のプリントを初めてやって泣き叫んだT君。その1週間後・・・。
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■「ウワァーン」と大声で泣きだしたT君
1週間前のことです。入塾して5カ月になるT君(年長)が、お母さんと一緒に教室にやってきて、初めて小1ー3(+1の足し算)のプリントをやりました。3週間ほど前に幼児のプリントを終え、小1ー1のプリントに入り、毎日やって11枚で合格。小1ー2のプリントも7枚で合格していました。
「今日は、ちょっと大変かもしれないけれど、これやってみる?」と小1ー3を見せると「うーん、できるかなー、でもやってみる!」と言って始めました。
5分ほどして、T君の様子が変わりました。「ウワァーン」と大声で泣きだし、プリントを投げ捨てる、ストップウォッチや、鉛筆まで投げ捨てます。お母さんが少し困った様子で見ています。
もともとパワーの有り余った子なので、これはしばらく放っておくしかないかなと思って様子を見ていると、T君もこちらの様子をうかがいながら、自分のストップウォッチなどは壊れないように手加減して投げているので、お母さんと二人でしばらく話をしながら落ち着くのを待っていました。10分ぐらいして泣きやみはしたものの、まだ怒りのやり場がないという感じで「早く、帰ろうよー」と言いだし、そのまま玄関のほうに行ってしまいました。
落ち着いたところで持って帰る宿題を相談して決めようかと思っていたのですが、今ここで話しても無理と判断し、お母さんに「とりあえず今週は小1ー2を6枚宿題にします。小1ー3を1枚入れておきますので、本人がやりたければやってもいいですから・・・。最近、あまりお母さんが声をかけなくても自分でやるようになっているようですから、今週は声かけを全然しなくてもいいと思います。今まで順調に来ていましたが、やっと、できないところにぶつかって、悔しい思いをしたようですね。」と言いながら、「ところで、今までもこんなふうに泣き叫ぶことはあったのですか?」と聞いてみました。「えぇ、家や、幼稚園で自分の思い通りにできないときに時々、でも、今まではこういう状態になると、周りが気を使って、なだめたり、何かで気をそらせるような対応をしてきたように思います。」
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■泣くのは意欲があるから
続けて、お母さんにこう話していました。「私は、できないところにぶつかったときが、子どもが大きく育つチャンスだと思っているので、泣いたり、叫んだりすることが問題だとは全然思っていません。こんなふうに、泣き叫ぶなんてすごいですよね。やる気がなければ、泣くこともないわけで、パワーというか、やる気の固まりみたいですよね。壁を乗り越える絶好のチャンスだと思うので、今週は少し様子を見ましょう。」
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■泣くことで、できない自覚が生まれ、安心して次に進んでいくことができる。
そして、今日、そのT君がニコニコしながらやってきました。「今週はどうだった?」と聞くと、「小1ー2をやって、小1ー3をやったけど合格しなかった!」
記録表を見ると、小1ー2を6枚中5枚と、小1ー3を1枚やっています。
「今日は小1ー3でいい?丁寧にやってみようか?」と聞くと「うん」と元気に答えたのですが、プリントを印刷している私のそばに来たり、「トイレに行く」と言ったりして、なかなか始める気配がありません。
お母さんが、「Tは、何か問題にぶつかると、ちょっとトイレに行く癖があるんです。お父さんに何かやるように言われたりしたときも、大変そうなときは、すぐトイレに駆け込むんです。」
「トイレでバランスをとっているということですかね。なかなか考えてますね。」と、私。
そんなT君に、「いつから始める?」と聞くと、「これ(私の印刷作業)が見終わったら!」といい、その通り始めました。目安3分のところ5分9秒でした。
「フーッ!」と、息をついたT君ですが、
今まではプリントをやりながらも、時々お母さんと私の話に気が散ったり、「うるさい!」と怒ったりしていたのですが、今日はそんな気配が微塵もなく、集中しきっている気配がビンビン伝わってきます。お母さんと二人で顔を見合わせてしまいました。
「宿題、小1ー3でいい?」と聞いたら、「小1ー2も!」と言うので次回までの分として、小1ー2と3を、それぞれ4枚づつ持っていくことになりました。
「どういうふうにやるの?」と聞いたら、「2をやって、3をやって、2をやって・・・」と、どうやら、自分なりにできないところを乗り越える作戦を考え始めたようです。
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■子どもが泣いたときに、大人がなだめたりすかしたりするのはなぜ?
私の友人は、子どもが泣いても、なだめたりすかしたりすることはしないと言います。子どもが泣いたとき、なだめたり、すかしたり、あるいは、叱ったりするのは、子どもが「泣く」のが嫌なだけで、子どもが泣きたい問題に寄り添ってはいないように思うのだそうです。確かに「泣いているあなたは嫌」というメッセージを送っているだけのように思います。
「壁にぶつかって泣いてOK、そのことと、やるかやらないかは別だから、安心して気がすむまで泣いたらいいよ」というのが、泣いてもなだめたりすかしたりしないことにつながっていると、子どもは安心して泣いて次に進んでいけるのだと思います。
壁にぶつかったときの感情の出し方は千差万別です。らくだのプリントを使って子どもと向き合っていると、つくづく、一人として同じ子はいません。目の前の壁にぶつかったとき、その子が自分の感情をどう表現するのか、そして、そのことにどう対応するかという私の課題なのです。
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●子どものできないに寄り添うということは、親が自分のできないに向き合うことだった。らくだのプリントを親がやることにどんな意味があるのかと聞かれたら、「あなたもやってみませんか?」と、提案するかもしれない。
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■Kさんのお子さん(小1、小4の男の子)は、夏休みになったのをきっかけにらくだのプリントを始めました。
最初に教室に来て、私と子どもたちとのやりとりを見ていたKさんですが、帰り際に、「私もやってみようかしら!」
「やってみたら!」と言ったら、本当にやり始めることになりました。
それから2ヶ月近くたち、最近そのことでいろいろと感じることがあるようで、昨日、教室に来たときに、「こんなことを書いてみました。」と、手渡してくれたのが次の考現学でした。本人の了解をとって皆さんにご紹介します。
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■ 9月1日
今日から学校が始まる。らくだをやる時間を、朝6時半に起きて7時にご飯を食べるまでの間にやる、ということを子どもたちと決める。
とすると、私は6時には起きて、朝食、洗濯、弁当作りをして、7時にはきちんとごはんを食べられるようにしなければならない。
毎日、6時に起きて支度をするのは、私にとってはらくだより大きな壁。(できないことに年期が入っている!)しかい、「プリントやった?」「いつやる?」と聞かずに、子どもも忘れずに毎日プリントをやるには生活時間を決め、守ること。それを続けることが必要と考えた。
「毎日6時に起きる。7時に朝食」これを毎日続けることは私にとって、今はできないけれど、できるようになりたいこと。できないに寄り添う。完璧ではなくできないこともありと考え、やると決める。できる人から見れば、簡単で何でもないことかもしれないけれど。
「6時に起きて7時に朝食」そのできないことが、できるようになることで(できるようになったら嬉しい)子どものできないことも、できるように、できないことに寄り添うことになるのではないかと考えた。
プリントをやるということで、もっと大きな壁が私の前に現れた。今まで、見えなかったもの、ではなく、見えていたけれど避けていた壁。子どもにとってより、私にとって大きな壁が現れたようだ。
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●こんな視点で、お母さんがらくだプリントを通して子どもと関わることができたら、「子どもがいることで学べる。」「子どもがいることが、〜ができないという理由にならない。」
そんな、大人自身の実践につながっていくのだろうと考えて嬉しくなってしまいました。
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