−自分の欲求を自分でコントロールする
|
|
■自分の欲求を自分でコントロールできることが自立…
立教大学非常勤講師で「子育て法革命」著者の品田知美さんをお迎えしての次世代育成支援講座で、品田さんご自身の育てられ方をお聞きしてみました。
品田さんのお母さんは、徹底して子どもの存在を尊重されていたということを話されましたが、その実感は、ご自分の子育てにも活かされたようです。
さまざまな問題が起こったときに、子どもを尊重する(生まれたときから親と違う人格を持っているということを尊重する)姿勢を崩さなかったと言います。そして、さらにその奥に、子育ての目的は自立した人間=自分の要求(欲求)を自分で制御(コントロール)できる人間に育てること、という明確な意志をお持ちでした。
|
|
■日本人の男の子はあずからない!
講座の中で、品田さんは、ご自身のお子さん(高1男)の留学で知ったことと、日本人の子育てについて、関連づけて話してくれました。
最近は、海外留学や短期のホームスティなどがごく一般的に行われるようになってきていますが、ヨーロッパや、アメリカなどのホームスティ先で一番敬遠されるのが日本人の男の子だそうです。
「ホームスティをするときに一番必要なことは何か?」と聞かれたら、多くの人は英語(言葉)が話せることと答えるのではないでしょうか?でも、そうではないと言うのです。ひとつは、「自分を主張できること。」そしてもうひとつは、「家のこと(家事)が出来ること」なのですが、このふたつとも多くの日本人の男の子には欠けているため、ホストファミリーが嫌がるのだといいます。
とくに、欧米では自分の言葉で自己主張できること、つまり、さまざまな価値観の違いのなかでへこたれないで自己主張でき
るタフさが必要だというのです。
けれど、甘やかされ、わがままなところで自己主張して育つと、環境が変わって、仮に自己主張したことが通らない場合、それを人のせいにすることが多くなりがちだというのです。日本の、男の子を持つお母さんを見ていると少し心配になると・・・。
|
|
■子育ての満足度が違うのは…。
品田さんは社会学者なので家族に対するデーターを読むことが多いそうですが、世界的におこなわれている「子育てについての満足度調査」というのがあって、ここでも日本のお母さんと欧米のお母さんの間に大きな違いがあるといいます。
日本のお母さんは、子どもが成長したときに不満を持つ人が多いそうで、とくに、子どもが12才以上になった頃からそれが顕著に表れるといいます。それに対して欧米のお母さんは、子どもの年齢が上がるとともに満足度も上がっていくというのです。
どちらが良い、悪いということではなく、データーとして出てきたことの意味を考えたとき、満足度は子どもの自立が大きなファクターになっていて、「自立をさせる子育てを目指しているかどうか?」ということが浮彫りになってきます。
日本だけではなく、アジアの中では、地域や血族の中で、人に合わせて暮らすことを子どもに求めてきたので、伝統的に自立を目指した子育ての文化はないといいます。
ですから、日本のお母さんは、「自立させることを目指した子育てをする」という伝統がなかったため、現代のように、子どもの自立を求められるようになってきた社会の中で、「本当は自立させたいけれど、どうやっていいかわからない。」ということを感じていらっしゃるのではないでしょうか?
そして、はっと気がつくと、12才以上になっても、小さい頃と同じように手のかかる子どもがいる、ということになるようです。
|
|
■自立ってなに?
では、そもそも自立とは何なのでしょう?そして欧米のお母さんたちは、どんなふうに子どもの自立を促す子育てをしているのでしょうか?その辺をお聞きしてみました。
このことに対する品田さんの回答は明快でした。「自立とは、自分の欲求(要求)を自分で制御できること」例えば、ゲームをやっていて、もう少しやりたいなと思ったときに、あと10分でやめると決められるとか、今日はもう約束の時間やったからやめようとか、誰に言われなくても、もう少しやりたいという欲求をコントロールできることだというのです。
でも、私も覚えがありますが、多くの親は、このあたりのことで苦労しているのではないでしょうか?
これを読みながら、「そんなに簡単にできるようになれば苦労はしないわ!」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、それは当然です。最初から自立した子なんていないのですから。でもヒントはあります。
欧米の子育てでは、最初から対等な関係ではなく、初めのうちは親がルールを作って、だんだん減らしていくのだそうです。そして、例えば10才になったら子どもの部屋の片付けはしないなどのように、ルールが無くても自分のやるべきこととして手放していくのです。掃除をせずに汚いなど、そこで起こる問題はその子の責任で対処させるということを徹底しているというわけです。
|
|
■勉強を使って自立した子を育てる
品田さんのお話を聞きながら、私は、らくだの学習を通して、勉強を使って自立した子が育つことに立ち会っているのだなと思いました。
例えば、らくだの学習では、さまざまなルールがあります。1日1枚プリントをする。自分で時間を計る。自分で丸付けをする。自分で持って帰る宿題を決める。自分で記録表をつける。突然の急用が入って教室に来れないときは自分で連絡をする、など。
そのルールは、最初から全部守らせようと持っても無理なことです。子どもによってもできること、できないことは違いますから、一人ひとりの課題も違ってきます。
でも、ひとつずつ、少しずつ、できなかったことができるようになっていくことで、そのうち気がつくと、自分のペースで学び始め、私の手を煩わすことは少なくなっていきます。そして、その結果、お母さん自身もゆったりと子どもと向き合えるようになっていくように思います。
一見当たり前のように思えるらくだ学習のルールですが、こう考えてみると、前に述べた、自立の意味とつながっていることに気がつきます。
ルールが守れる、それも、怒られたり、褒められたりしなくてもルールが守れるということ。そして、ちょっと大変だけど自分で決めたことだからやるというふうに、自分の欲求を制御できることは、自立そのものなのではないでしょうか?
そして、その結果として、今、自分にできないことを受け入れ、それをどうすればできるようになるのか、試行錯誤を繰り返しながら挑戦していくということができるようになっていくのだと思います。
学力は、その結果として確実についてくるものなのではないでしょうか?
|
|
■習い事は子どもの自立のため?
これは、他のさまざまな習い事なども一緒なのではないでしょうか?スイミングやピアノなどを習っている子はたくさんいますが、早く上達することを目指すこと以外に、習い事のプロセスの中で起こるさまざまな出来事を通して、今その子に自立する上で必要な力をつけていくチャンスはいっぱいありそうです。
たとえば、ピアノがなかなか上達しないでイヤになったとき、そのイヤな気持のままで、どうすれば続けられるかを考えてみること、あるいは、習い事に行くときに持っていくものや、行く時間などを、面倒くさくても自分の問題として自覚していくことなど…。
自立という視点で考えてみると、その子にとって必要な力が何か?親自身も一緒に考えるチャンスのような気がします。
|
|
今月の「たんたんカフェ」
|
|
■月に一度開いているたんたんカフェですが、8月はお盆などが入っているのでお休みでした。お顔を合わせられないのは少し寂しいですが、9月にお会いしたときに、たくさんしゃべることを取っておいてください!
というわけで、今月も前回のたんたんカフェでの感想をご紹介します。
|
|
■「子育ては自分育て」 A・F
2人の男の子を持つ私は、「日々心豊かに子育てしたい」とは思いつつ、現実は「早くしなさい!」「やめなさい!」と大声で叫んでいる毎日です。とても体力もついていきません。
今日は「子育て不安」について、いろいろな形の話が聞けて、とても共感できるものがたくさんありました。不安だからこそ学びに変えていける、自分も子供と一緒に成長していけるんだなあと思いました。子供の成長とともにその時その時で悩みもいろいろ変化してきました。悩みや不安は消えることはありません。一緒に心を開いてお茶を飲みながら話のできるネットワークや、仲間は良き安心の基地になると思います。
■「リアルな子育て中の思いが聞きました。」 K・S
今日のたんたんカフェでは、参加された方たちが、子育てでどんなことを考えていたかを書いて持ち寄った。
「『叱らない』ことを大切にしたいけれど、『叱らない』ように気を使いすぎなのかな?とも思ったりしました。」と書いている方がいた。「どうしてそう思うの?」という問いに「何でも受け入れすぎて、わがままになる心配を感じる」という。これを聞きながら「叱らない」ことを「良いこと」として絶対化しないが大切なのだろうと思った。
また「叱る」「叱らない」というよりも、親にとって困ること、嫌なこと、不快、してほしくないことを子供がしてる時、その「親の思いをどう伝えるか」ということではないかと思った。
子供が不登校になったことで、「自分が学校をどう思っているかが問われていると思った。」という方もいたが、いつも、自分がどうしたいのか、何を思ってるのか、と、まずは自分とのコミュニケーションから子育ても始まるのだと改めて思った。
|
|
|